アクロバット飛行、編隊連携機動飛行、航過飛行

|  ブルーインパルス雑学  |
 ブルーインパルスの展示飛行は、アクロバット飛行、編隊連携機動飛行、航過飛行に分類することができます。
 アクロバット飛行とは、航空法第百九十七条の三に定められる曲技飛行、を含む展示飛行です。航空法百九十七条の三で、曲技飛行は、宙返り、横転、反転、背面、きりもみ、ヒップストールその他航空機の姿勢の急激な変化、航空機の異常な姿勢又は航空機の速度の異常な変化を伴う一連の飛行とする。と定めれらています。
 編隊連携機動飛行は、アクロバット飛行は行わないが、迫力のある機動飛行を見せてくれます。航空祭で戦闘機が見せてくれる機動飛行がありますが、これを編隊で行うのが編隊連携機動飛行であり、ブルーインパルスならではのものです。編隊飛行に、ファンブレイク、チェンジオーバーターン、デルタ360°ターン、オリジナルレベルキューピッド、ナイフエッジなどの機動飛行が織り交ぜられた展示飛行です。宙返り、横転、反転、背面などを含む曲技飛行課目は行われません。編隊連携機動飛行は、防衛大学校入校式、航空学生卒業式、分屯基地開庁祭などで実施されます。
 航過飛行は、フォーメーションの様式を見せる編隊飛行です。デルタ、リーダーズベネフィット、スワン、ポイントスター、エシュロン、トレイルなどの編隊飛行が行われます。2005ツアーでは、那覇航空祭でT-4ブルーインパルス初めての展示飛行が航過飛行で実施されました。航空祭でもアクロバット飛行の気象条件が満たされない場合に、航過飛行が行われることもあります。

 アクロバット飛行は1区分、2区分、3区分、4区分に分類されています。これはシーリングといって、雲の高さによって分類され、それによって課目構成が決められています。1区分、2区分を縦系、3区分、4区分を水平系などと呼んでいますが、1区分:10,000フィート、2区分:7,000フィート、3区分:5,000フィート、4区分:3,000フィートのシーリングが規定されています。この他に、ビジビリティ(視程)も規定されており、アクロバット飛行は8kmの視程が必要となります。ブルーインパルスのアクロバット飛行では、事前にウェザーチェック機が天候をチェックし、その上でブルーインパルスが離陸した後、編隊長が天候を確認して区分を最終決心することがあります。
 編隊連携機動飛行と航過飛行のシーリングは3,000フィート、視程は5kmとなっています。

 余談になりますが、アクロバット飛行を行うためには、10,000フィートの高度と半径8kmの空域がブロックされることになります。そのためには飛行場上空を航路とする航空機などに事前に通達するなどの空域調整が必要となります。そうした関係者の調整努力などにより、ブルーインパルスの華麗なアクロバット飛行が実施されているのです。
 もうひとつ余談になりますが、ブルーインパルスや航空自衛隊機の基本となる編隊飛行は、編隊長資格を持つ編隊長によりリードされて飛行が行われます。編隊長資格は2機、4機、多数機、と飛行時間などにより資格付けされています。他方、航空法第八十四条により、航空運送事業用航空機は編隊飛行を禁止されています。航空自衛隊ならではの展示飛行を航空祭で満喫してください。

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