ファンブレイクの撮り方

|  撮影TIPS  |
 会場左後方から正面を回り込むように飛び抜けるファンブレイクは、ブルーインパルスの編隊課目の中でも、その機体の背中をアップで撮れる唯一の課目といっても良いでしょう。
 しかし、いきなりハイスピードで現れるファンブレイクは、なかなか撮影も難しいものです。写真撮影を成功させるために肝心なのは、自分の立ち位置です。ファンブレイクの場合には、その軌道を早い段階で確認できるかどうか、これにつきると思います。また、望遠レンズで狙った被写体にぴったりとファインダーを合わせられるか、これも慣れが必要になってくると思います。
 まず立ち位置ですが、会場内のブルーインパルスが駐機している列線前の前の方が、後方の視界が良く有利です。課目の流れをイメージしてみてください。ダーティターンで後方やや左方向に抜けた#1〜4の編隊は、ロールオンテイクオフが終わった#6が会場上空から離れたのを見届けたタイミングで、会場真後ろから270度の大きな円弧を書くようにターンしてきます。まず、この真後ろでの進入を視認できると、速度や軌道がイメージしやすくなり、いきなり現れた編隊にファインダーを慌てて合わせてブレブレになるリスクが少なくなります。列線前の前の方と記しましたが、正確にはショウセンターに近く、真後ろがランプ地区へ抜ける通路で見通しが良いなど、飛行場それぞれによって最適な位置は異なります。例えば入間航空祭では、広くて横長のランプ地区が会場となるため、ブルーインパルスの列線はショウセンターより大分左寄りになっています。列線前にいるといきなり現れて余裕がありません。
 望遠レンズで被写体にファインダーを合わせるコツですが、撮影回数と慣れが一番ものをいいます。けれども慣れる為のコツを書くとすれば、最初の頃は、右目でファインダーを覗いているとして、左目も開けて肉眼で目標を同時に見ると、自然に右目のファインダーの方向もそちらに行きやすくなる、ということです。
 望遠レンズの長さですが、筆者は35mm換算で焦点距離が1.3倍になるデジタル一眼レフを使用していますが、300mm(35mm換算390mm)あたりが、丁度良いと思います。実際には100-400mmのズームレンズを多様しており、ズームで焦点距離は合わせています。編隊課目からソロまで、様々な課目を撮るためには、ズームレンズが有利です。解像度などやキレなど、何かと専門的な知識を持っている人には物足りないと思われているズームレンズですが、ブルーインパルスのアクロバット飛行を撮るには使える範囲が広いのです。そして、ズームレンズをお使いなら、テレ側(広角側)でまず編隊を捕らえ、そこからズームを上げていくと、正面に来たときにファインダーいっぱいに納めやすいです。ただし、これも最初に後方から来る進入を見ていて軌道が予測できていないと、ズームを上げていく余裕など生まれないのです

<Imachan>