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DVDプレビュー 1区分課目解説

2010.7/1 Release 「Blue is Blue The 50 Years DVD」DVDプレビュー

Blue is Blue The 50 Years DVDジャケット
《2010.7/1 Release
Blue is Blue The 50 Years DVDジャケット》
 平成22年7月1日、今年創設50周年を迎えたブルーインパルスの歴史を振り返る「Blue is Blue The 50 Years」バナプルより発売される。
 本作は、ブルーインパルスの創設から現在までの50年を収録したドキュメンタリーDVDとなっている。86時代の懐かしい映像、T-2課目開発、T-4アメリカ遠征など貴重な映像が多数収録されている。歴代18人のパイロット達がそれぞれの時代を熱く語る映像。それぞれの時代、それぞれの思い出に、往年のファンは涙するかもしれない。

 ナレーション収録現場に立ち会う機会を得て、本作を完成前から拝見することができた。現場には86ブルーのソロ操縦者としてあまりにも有名な村田博生氏が同席されていた。村田氏は休憩時間にもお話を聞かせて下さり、戦闘機パイロットとして鍛え上げ、まだまだお元気でありながら、この50周年の節目にブルーインパルスの歴史を語り伝えておかなければいけないという気迫に満ち溢れていた。ご自身の貴重な証言、貴重な所蔵写真の提供のみならず、伝説のパイロットたちを本作に登場させる調整役としても努められた。
 村田氏の全面協力と企画への参画に加え、企画協力として武田頼政氏、杉山潔氏も名前を連ねる。ブルーインパルスを見続けるライターと数々の映像作品を世に送り出してきたプロデューサーの二人である。

 

スタジオ1991にて
《写真:スタジオ1991にて。
現場には模型が置かれて制作が進められた》
 本編は「かつて日本は航空立国であった」という言葉から始まる。戦前の華々しい航空機の映像と敗戦により解体された映像が重なっている。戦前には源田サーカスとして編隊飛行の妙技を披露し、戦後航空幕僚長として航空自衛隊の立ち上げに尽力された源田実氏のバックアップにより、ブルーインパルスが編成された。
 この87分の大作を見終わり、最初の言葉をふと振り返ると、
「敗戦で解体されながらも繋げられてきた航空史とスピリットは、ブルーインパルスによって今の時代にも継承されているのです」
 そんなメッセージが込められていることに気付かされる。
 この50年、新日米安保条約と同じ時間の歴史を持つブルーインパルスは、数々の困難を乗り越え、独立飛行隊として活動するようになった。インターネットの普及とともに、航空祭の情報など細分化された情報が伝わるようになり、航空祭の来場者も年々増えている。一方、航空祭以外のイベントでも各地から招待され飛行するようにもなった。また、テレビでもドキュメンタリー番組のみならず娯楽番組でも取り上げられ、人気者になっていることは周知の通りである。それらの展示飛行や取材にも対応できるある種の完成形に至る歴史が、このDVDで明確に伝えられている。
 自衛隊の中でも最も国民に近い存在、東京オリンピックで誰もが誇りに思った存在。しかし、そんなブルーインパルスも、基地周辺や沿線の人たちにはお馴染みの存在であり続けながらも、実は知る人ぞ知る存在となり、ここに来て新鮮な魅力として多くの新しいファンの心を掴んでいるのも事実である。本作は、長年愛し続けてきたファンの思い出を呼び起こし、何でいままで気付かなかったのかと後悔する程の人もいる新しいファンを歴史と繋げてくれる。
 本作は数々の貴重な映像と新たに撮影されたインタビュー映像などで構成されている。東京オリンピックのメンバーの元気な姿も、当時編隊長でその後JALの名機長としても活躍された松下治英氏をはじめ拝見することができる。歴史の証言者には、村田博生氏はもちろんのこと、竹田五郎氏、長澤賢氏、淡野徹氏、原田実氏、田代健二郎氏、白川司氏、岡本俊基氏、田中光信氏、東福久則氏、原幸太郎氏、井出方明氏、砂野靖雄氏、塩澤信行氏、小倉貞男氏、阿部英彦氏、宮川範之氏、渡辺学氏が名を連ねる。
 折り重ねられていく数々の証言が、ブルーインパルスの歴史を浮き彫りにしていく。往年のファンは、これまでの見聞にそれらを積み重ね、より深い歴史観を構成されることであろう。

制作に熱心に協力された村田博生氏
《写真:制作に熱心に協力された村田博生氏》
 86ブルーインパルスの伝説からT-4ブルーインパルスの現在に至る変遷を刻む本作の中で、T-2ブルーインパルスも大きな部分を占めている。四機編隊とソロ二機による課目構成や第11飛行隊編成に至る経緯など、T-2ブルーインパルスがどれだけ大きい存在であるかも、本作を通じ良く理解できた。
 86ブルーインパルスの伝説と栄光を国産初の超音速ジェット練習機で引き継いだT-2ブルーインパルスは、大きなステップであり、数々の試練をも伴った。東福氏や唯一人整備員でナレーターを務められた砂野氏の想い、さらには砂野氏のナレーションの音源に涙するファンも多いのではなかろうか。
 T-2ブルーインパルスのラストイヤーには、招待者限定行事の航空訓練展示を一般公開に変えた。一般公開でファンに見てもらってこそ、六機で再生した姿を最後まで見てもらってこそブルーインパルスである、と、既に井出氏に編隊長を引き継ぎ空幕勤務となっていた東福氏は、上層部に掛け合い、航空訓練展示を一般公開に変えたのだ。
「ファンあってのブルーインパルス」
 この想いこそ、ブルーインパルスなのだ。それはファンとの絆でもあり、教訓のために散った亡き同僚への誓いでもあった。
 この想いがなければ、もしかしたらブルーインパルスは50年続かなかったかもしれない。僕にはそんな気がした。

 感動は見せる人と見る人の気持ちがひとつになって生まれる。日本の航空史の主流たるブルーインパルスは、感動に満ち溢れているのだ。

 本作を創り上げてくれた制作陣と、その想いに応え協力してくれた関係者に、このDVDを残してくれて有難うと心から御礼申し上げたい。

■バナプル http://www.banaple.co.jp/
2010.7.1  
«Imachan»
<ジャケット写真提供:バナプル>




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