一般的なビデオカメラで動画撮影されている方の多くは、液晶パネルの映像を見ながら撮影されています。CMでもお馴染みのように、小型ビデオカメラの多くは、液晶パネルを開いて撮影することを前提として操作系の設計が行われていると推察されます。ファミリーユースでは、被写体とのコミュニケーションが取りやすい、撮影しながら移動しやすい、自由な体勢/角度で撮影できるなど、多くのメリットがあります。しかし、飛んでいる航空機の撮影では、ビューファンダーを覗いて撮影することをお勧めします。その理由と事例を紹介します。
AF(オートフォーカス)の性能は向上してきましたが、航空祭会場正面を時速300〜800kmの高速で通過する航空機に瞬間的に焦点を合わせるのは不得意です。場合によっては、焦点が合わないまま通り過ぎてしまいます。航空祭会場へ進入してくる段階から焦点を合わせることが大切です。その際、液晶パネルの大きさや光量では、機体の発見や焦点の判別に、どうしても限界が出てきます。
もう一つ、航空祭会場上空を水平に飛行する航空機を撮影する場合、ビデオカメラの軌跡はどう動くでしょうか? 遠方に航空機がある場合はほぼ水平、正面では上方向へ角度がつき、去るにつれて水平に戻ります。肉眼で見る場合は、反射的に頭を上下させながら上半身を左右に振りながら追っています。 液晶パネルでの撮影では、航空機、ビデオカメラ、眼の位置関係が一直線になるように、腕と上半身を飛行機の軌跡に合わせて連続的に動かすことになりますが、どうしてもカメラと上半身の位置が崩れ気味になります。そうなると、フレーム内の一定位置に航空機を収めるのは難しくなり、さらに、急旋回などが伴う戦闘機の機動飛行なら、航空機がフレームから飛び出してしまいます。デジタル一眼レフもコンパクトデジカメのように背面の液晶パネルを見ながら撮影が可能ですが、大抵はファインダーを覗き込んでいますよね。理由は似ていると思います。
航空機(特に軍用機)の撮影は、日常生活の撮影では遭遇することの無い光景が、目前で繰り広げられます。色々な撮影スタイルがあると思いますが、参考にして下さい。もし、新幹線が自宅の近くを通っている方なら、高架橋上を時速200km以上で通過する車両の運転席を撮影するのは、よいトレーニングになります。
<動画撮影(その2 望遠or広角)につづく>
<Studio-T>