ブルーインパルスの使用機種

|  ブルーインパルス雑学  |
 ブルーインパルスが使用している機体は、一般にはオートバイで知られているKawasaki(川崎重工業)製の中型ジェット練習機T-4です。T-4は、戦闘機パイロット候補生が、初等操縦過程でプロペラ機による操縦をマスターした後、基本操縦過程で初めてジェット機に乗る機体です。この他にも、全国の飛行隊の要務連絡用としても配備されている、世界に誇るべき国産傑作機といえましょう。
 T-4の特長は、コンパクトで機動性が良いこと。その特性を活かしてブルーインパルスのアクロバット飛行が構成されています。そして、ブルーインパルスのT-4はアクロバット飛行用に改修された特別仕様。バードストライク(鳥がぶつかる事故)に備えてキャノピー(風防)のフレームを太くしたり、主翼の前辺を強化したり、そうした改修による重量の増加をカバーするためにエンジンをチューンナップしている他、スモーク装置の増設や、ラダー(方向舵)という垂直尾翼後端に設けられた可動翼の可動角を大きくしたりしています。このブルーインパルス仕様T-4でしか、あのアクロバット飛行はできないのです。
 T-4は、F86F、T-2に続いて3代目の使用機種であり、この3代目のブルーインパルスを、皆T-4ブルーインパルスと呼んでいます。そして、T-4ブルーインパルスは、単独の第11飛行隊として独立した初めてのブルーインパルスなのです。2005年12月にはT-4ブルーインパルス=第11飛行隊は10周年を迎えました。

 F86Fを使用した初代86ブルーインパルスは、東京オリンピック開会式で五輪のマークを描くなど、航空自衛隊が初めて全国に防空任務のための戦闘機部隊を配備したF86Fを使用した、歴史的な伝説のアクロバット飛行チームです。
 2代目のT-2ブルーインパルスは、国産初の超音速ジェット練習機の三菱重工業製T-2を使用し、後にF-1支援戦闘機のベースとなったT-2を使用したダイナミックなアクロバット飛行で人気を博しました。その超音速を思わせる尖った機体、スモークオイルの噴射量を調整することでスモークの代わりにアフターバーナーを強調する炎を噴射しながら離陸する姿など、たくさんの子供達や航空ファンに夢と希望を与えてくれたブルーインパルスです。

 T-4ブルーインパルスは、86、T-2の伝統を継承し、さらにT-4の特性を活かして進化させたアクロバット飛行チームです。T-4ならではの演技課目や、航空自衛隊50周年の2004ツアーでは、「さくら」など新しい描き物の演技も開発し、これからも進化していってくれることでしょう。T-4ブルーインパルスのアクロバット飛行は、ワールドクラスの妙技が凝縮されており、T-4と精鋭パイロットの心技体がいっしょになった「極技」なのです。

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